商社業界トップ5 財務諸表比較

5大商社の伊藤忠商事・三菱商事・三井物産・住友商事・丸紅について、2026年3月期通期決算の主要財務指標を横並びで比較します。商社は本業のトレーディング収益だけでなく、出資先企業からの持分法投資損益が利益の柱になっているという業態上の特徴があるため、「投資収益比率チャート」でその内訳も確認できます。

バリュエーション・マップ(PER × 売上高倍率)

0.85倍0.9倍0.95倍1倍1.05倍1.1倍1.15倍1.2倍10倍11倍12倍13倍14倍15倍16倍18倍 伊藤忠商事: PER(会社予想) 14.92倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 1.08倍 / 時価総額 160,668億円 伊藤忠 三菱商事: PER(会社予想) 15.96倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 0.94倍 / 時価総額 177,883億円 三菱商事 三井物産: PER(会社予想) 15.05倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 1.00倍 / 時価総額 139,968億円 三井物産 住友商事: PER(会社予想) 11.96倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 1.03倍 / 時価総額 75,483億円 住友商事 丸紅: PER(会社予想) 14.53倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 1.03倍 / 時価総額 85,429億円 丸紅時価総額を売上高で割った倍率(PSR=Price to Sales Ratioとも呼ばれます)。利益がマイナスでPERが算出できない赤字企業でも、売上高さえあれば算出できる株価指標です。詳しくはこちら →Price Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。詳しくはこちら →
伊藤忠商事三菱商事三井物産住友商事丸紅

縦軸はPrice Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。詳しくはこちら →、横軸は時価総額を売上高で割った倍率(PSR=Price to Sales Ratioとも呼ばれます)。利益がマイナスでPERが算出できない赤字企業でも、売上高さえあれば算出できる株価指標です。詳しくはこちら →で、いずれも対数スケールです。バブルの大きさは時価総額を表します。数値の詳細は下記「指標比較表」または各バブルにカーソルを合わせてご確認ください。

資本効率マップ(ROA × 自己資本比率)

Return On Equityの略。株主が出した資本(自己資本)に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷自己資本で算出します。詳しくはこちら →という1つの数字が「本業の稼ぐ力(Return On Assetの略。負債も含めた総資産全体に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷総資産で算出します。詳しくはこちら →)」と「レバレッジ(総資産のうち、返済不要の自己資本(株主資本)がどれだけの割合を占めるかを示す指標。数字が高いほど負債への依存度が低く、財務的な余力が大きいとされます。詳しくはこちら →の低さ)」のどちらでできているかを分解して見るチャートです。斜めの参照線はROE一定線(ROE=ROA÷自己資本比率という恒等式に基づく)で、同じ線の上に乗っている会社は数式上ROEが同じであることを意味します。

ROE +5%ROE +10%ROE +15%ROE +20%30%35%40%45%3%4%5%6% 伊藤忠商事: ROA(総資産利益率、簡易値) 5.3% / 自己資本比率 39.4% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 13.6% 伊藤忠 三菱商事: ROA(総資産利益率、簡易値) 3.2% / 自己資本比率 39.1% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 8.2% 三菱商事 三井物産: ROA(総資産利益率、簡易値) 4.0% / 自己資本比率 42.1% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 9.4% 三井物産 住友商事: ROA(総資産利益率、簡易値) 4.4% / 自己資本比率 33.9% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 12.9% 住友商事 丸紅: ROA(総資産利益率、簡易値) 5.1% / 自己資本比率 41.4% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 12.4% 丸紅総資産のうち、返済不要の自己資本(株主資本)がどれだけの割合を占めるかを示す指標。数字が高いほど負債への依存度が低く、財務的な余力が大きいとされます。詳しくはこちら →Return On Assetの略。負債も含めた総資産全体に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷総資産で算出します。詳しくはこちら →
伊藤忠商事三菱商事三井物産住友商事丸紅

横軸は自己資本比率、縦軸はROA(簡易値=ROE×自己資本比率で逆算した値。総資産の実額からの算出ではありません)で、いずれも線形スケールです。バブルの大きさは時価総額です。同じROE一定線に乗っていても、自己資本比率が低い(左側の)会社ほど、そのROEはレバレッジで底上げされている度合いが大きいことを意味します。

投資収益比率チャート(持分法投資損益 ÷ 当期純利益)

商社は本業のトレーディング収益だけでなく、出資先企業(関連会社・共同支配企業)の利益の持分相当額を「出資先企業(子会社ほど支配力は強くないが一定の影響力を持つ関連会社等)の利益のうち、出資比率に応じた持分相当額を自社の損益として計上する会計項目。商社など出資先企業からの収益に大きく依存する業界で、利益の内訳を理解する上で重要な指標です。詳しくはこちら →」として計上する投資事業も、利益の大きな柱にしています。このチャートは、各社の当期純利益のうちどれだけが出資先企業からの投資収益で占められているかを、積み上げ横棒(濃い色=持分法投資損益、薄い色=それ以外の純利益)で示しています。

0億円5,000億円10,000億円 丸紅: 持分法による投資損益 3,383億円 丸紅: それ以外の純利益 2,056億円 丸紅62.2% 三菱商事: 持分法による投資損益 4,679億円 三菱商事: それ以外の純利益 3,326億円 三菱商事58.5% 三井物産: 持分法による投資損益 4,474億円 三井物産: それ以外の純利益 3,866億円 三井物産53.6% 住友商事: 持分法による投資損益 2,667億円 住友商事: それ以外の純利益 3,336億円 住友商事44.4% 伊藤忠商事: 持分法による投資損益 3,235億円 伊藤忠商事: それ以外の純利益 5,768億円 伊藤忠35.9%
持分法による投資損益(出資先企業からの利益)それ以外の純利益(本業のトレーディング収益等)

投資収益比率(持分法による投資損益 ÷ 当期純利益)の高い順に5社を並べています。バーの右の数値が投資収益比率です。

ネットキャッシュ比較チャート

ネットキャッシュ現金及び現金同等物有利子負債)は、借入金をすべて返済してもなお現金がどれだけ残るかを表す指標です。5大商社は自動車業界のような大規模な自社金融事業(自動車ローン等)を通常持たないため、自動車業界編で必要だった「金融事業を除いた事業単体ベースへの調整」は不要です。ただし5社とも結果はマイナス(負債超過)となっており、これは資源開発・インフラ等への大規模投資を借入で賄う商社のビジネスモデル上、通常時から有利子負債が現金を上回りやすい財務構造を反映したものです。自動車業界のような金融子会社による歪みとは性質が異なる点にご注意ください。

-4兆円-2兆円0兆円 丸紅: ネットキャッシュ -18,589億円(連結ベース) 丸紅-18,589億円 伊藤忠商事: ネットキャッシュ -30,789億円(連結ベース) 伊藤忠-30,789億円 住友商事: ネットキャッシュ -31,717億円(連結ベース) 住友商事-31,717億円 三菱商事: ネットキャッシュ -39,054億円(連結ベース) 三菱商事-39,054億円 三井物産: ネットキャッシュ -41,402億円(連結ベース) 三井物産-41,402億円
キャッシュリッチ(ネットキャッシュがプラス)負債超過(ネットキャッシュがマイナス)

ネットキャッシュの大きい順に5社を並べた横棒グラフです。単位は兆円(軸目盛り)、バー上のラベルは億円単位の実数です。

指標比較表

指標伊藤忠商事三菱商事三井物産住友商事丸紅
規模
売上高(売上収益・経常収益)148,231億円189,160億円139,952億円73,373億円82,658億円
売上高成長率(前期比)+0.7%+1.6%-4.6%+0.6%+6.1%
収益性
営業利益(経常利益)7,019億円2,567億円
営業利益率(経常利益率)4.7%3.1%
当期純利益9,003億円8,005億円8,340億円6,003億円5,439億円
Return On Equityの略。株主が出した資本(自己資本)に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷自己資本で算出します。詳しくはこちら →13.6%8.2%9.4%12.9%12.4%
Return On Assetの略。負債も含めた総資産全体に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷総資産で算出します。詳しくはこちら →5.3%3.2%4.0%4.4%5.1%
EPS(1株当たり利益)128.00円210.92円291.12円124.77円330.42円
出資先企業(子会社ほど支配力は強くないが一定の影響力を持つ関連会社等)の利益のうち、出資比率に応じた持分相当額を自社の損益として計上する会計項目。商社など出資先企業からの収益に大きく依存する業界で、利益の内訳を理解する上で重要な指標です。詳しくはこちら →3,235億円4,679億円4,474億円2,667億円3,383億円
投資収益比率(持分法投資損益 ÷ 当期純利益)35.9%58.5%53.6%44.4%62.2%
OHR(経費率)
財務健全性
総資産のうち、返済不要の自己資本(株主資本)がどれだけの割合を占めるかを示す指標。数字が高いほど負債への依存度が低く、財務的な余力が大きいとされます。詳しくはこちら →39.4%39.1%42.1%33.9%41.4%
BPS(1株当たり純資産)942.78円2578.33円3093.56円970.22円2663.18円
現金及び現金同等物5,938億円18,415億円9,827億円10,054億円5,511億円
有利子負債36,727億円57,469億円51,229億円41,771億円24,100億円
ネットキャッシュ-30,789億円-39,054億円-41,402億円-31,717億円-18,589億円
自己資本比率(バーゼル規制ベース)
市場評価
1株配当(会社予想)42円110円115円38円108円
株価2027.5円4794.0円4886.0円1579.0円5144.0円
Price Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。詳しくはこちら →14.92倍15.96倍15.05倍11.96倍14.53倍
PBR(実績)2.15倍1.86倍1.58倍1.63倍1.93倍
配当利回り(会社予想)2.17%2.61%2.87%2.53%2.24%
時価総額160,668億円177,883億円139,968億円75,483億円85,429億円
時価総額を売上高で割った倍率(PSR=Price to Sales Ratioとも呼ばれます)。利益がマイナスでPERが算出できない赤字企業でも、売上高さえあれば算出できる株価指標です。詳しくはこちら →1.08倍0.94倍1.00倍1.03倍1.03倍

決算数値の算出基準: 2026年5月1日発表の2026年3月期決算短信/株価・PER・PBR・配当利回り・時価総額の基準: 2026年7月29日12:50頃(東証、取引時間中のリアルタイム株価。終値ではない)

会社概要・会計基準

伊藤忠商事(8001)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

伊藤忠商事 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) →

三菱商事(8058)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

三菱商事 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) →

三井物産(8031)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

三井物産 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) →

住友商事(8053)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

住友商事 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) →

丸紅(8002)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

丸紅 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) →

算出方法・データソース

※本ツールは各社の決算短信に基づく財務指標を業界内で相対比較する情報提供を目的としており、投資助言・売買推奨ではありません。特定の企業への投資を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。数値は算出時点のものであり、最新の情報は各社のIR資料でご確認ください。