更新日: 2026年10月5日

PER(株価収益率)とは

Price Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。

かみ砕いた説明

PER(Price Earnings Ratio、株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標です。言い換えると、「今の株価で会社を丸ごと買った場合、今の利益水準が続くとして何年分の利益で元が取れるか」を表します。PER15倍なら、15年分の利益に相当する値段がついているということです。

数字が低いほど利益水準に対して株価が割安、高いほど割高という目安として使われます。ただしPERの高低は「割安・割高」だけでなく、その企業の将来の成長期待の高さを反映していることも多く、単純に「低い方が良い」とは言い切れません。

計算式と計算例

PER = 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)= 時価総額 ÷ 当期純利益

当サイトの銀行業界トップ5 財務諸表比較ツールに掲載している三菱UFJフィナンシャル・グループで計算すると、

  • 株価: 3,525円(2026年7月30日終値)
  • 1株あたり利益(2026年3月期実績): 213.17円
  • PER: 3,525円 ÷ 213.17円 ≒ 16.5倍

となります。PERの逆数(1 ÷ PER)は「益回り」と呼ばれ、この場合は約6.0%です。株価に対して1年間にどれだけの利益を生んでいるかを利回りの形で表したもので、債券の利回りや配当利回りと比べるときに使われます。

実績PERと予想PER

PERの計算に使う利益には、主に2種類あります。

種類使う利益特徴
実績PER直近の決算で確定した利益確定値なのでぶれないが、過去の数字
予想PER(会社予想PER)会社が発表した今期の業績予想将来を反映するが、予想が外れることがある

証券情報サイトで単に「PER」と表示されている場合、多くは会社予想に基づく予想PERです。どちらの数字を見ているかによって解釈が変わるため注意が必要です。上の三菱UFJの例は、同社が1株あたり利益の予想を開示していないため実績PERを使っており、当サイトのツールでもその旨を注記しています。

赤字決算の企業は実績PERを算出できません。トヨタ・ホンダ・日産・スズキ・マツダの決算比較では、2026年3月期が最終赤字だったホンダ(23.7倍)・日産(58.2倍)について、翌期の会社予想利益に基づく予想PERを使っています。日産のPERが突出して高いのは、市場の期待が大きいからというより、分母となる予想利益が小さいためです。利益が大きく落ち込んだ(あるいは回復途上の)企業ではPERが極端な値になりやすく、そのまま割高と判断するのは早計です。

業界によって「普通のPER」は違う

当サイトの業界比較ツールに掲載している各社のPERを、業界ごとに単純平均すると次のとおりです。各社のPERは原則として会社予想PERで、会社予想利益が開示・掲載されていない三菱UFJ フィナンシャル・グループとKDDIのみ実績PERを使っています。

業界(対象企業数)PERの平均業界内の例
精密機器・FA機器(3社)34.9倍キーエンス 44.1倍
小売(5社)33.2倍イオン 51.7倍/ニトリ 15.8倍
自動車(5社)22.7倍日産 58.2倍/マツダ 8.2倍
通信(3社)15.9倍ソフトバンク 19.1倍
銀行(5社)14.8倍三井住友トラスト 12.1倍
商社(5社)14.5倍住友商事 12.0倍
不動産(5社)13.4倍三菱地所 19.7倍/野村不動産HD 9.0倍
建設(4社)12.4倍清水建設 9.7倍

高い利益率と安定した成長が期待される精密機器や、成長期待の大きい一部の小売企業は30倍を超える一方、景気の影響を受けやすい建設・不動産・商社などは10倍台前半に収まっています。自動車業界の平均が高めなのは、上記のとおり日産のPERが平均を押し上げているためで、トヨタ(12.9倍)・スズキ(10.4倍)は業界をまたいでも低めの水準です。

PERは業界の性質を強く反映するため、異なる業界の銘柄をPERだけで比べて割安・割高を判断するのは避け、同じ業界内や、同じ会社の過去の水準と比べるのが基本です。

PBR・ROEとの関係

PERは、PBR(株価純資産倍率)とROE(自己資本利益率)を使って次のように分解できます。

PER = PBR ÷ ROE

三菱UFJの場合、PBR 1.79倍 ÷ ROE 10.8% ≒ 16.6倍で、上で計算したPERとほぼ一致します(同じ実績利益・期末純資産を使っているため)。「PBRが高いのはROEが高いからか、それともPERで表される成長期待が高いからか」を切り分けるときに便利な関係です。

よくある誤解・注意点

  • PERが低い=お買い得とは限らない: 業績の悪化が見込まれている、あるいは一時的な特別利益で利益が膨らんでいる場合も、PERは低く出ます
  • 一時的な損益に注意: 資産売却益や減損損失など、本業と関係のない一時的な損益で当期純利益が大きく変動すると、PERもそれに引きずられます
  • 利益がマイナスの企業は比較できない: 赤字企業との比較には、売上高を基準にするRevenue Multiple(PSR)が補助的に使われます
  • 株価の時点によって数字が変わる: PERは毎日の株価で変動します。当サイトの業界比較ツールに掲載しているPERも、各ツールに記載した時点の株価に基づく値です