自動車業界トップ5 財務諸表比較

売上高ベースで国内トップ5のトヨタ自動車・本田技研工業(ホンダ)・日産自動車・スズキ・マツダについて、2026年3月期通期決算の主要財務指標を横並びで比較します。5社とも決算期が3月末で揃っているため、同じ決算期の数値を使って比較しています。

対象決算
2026年5月8日〜5月14日発表の2026年3月期決算短信
出典
各社の決算短信(下記「会社概要・会計基準」に各社IRページへのリンクを掲載)
株価等の基準日
2026年7月27日15:30(東証終値)
更新日
データ: /解説:
会計基準の違いにご注意ください: トヨタ・ホンダ・スズキはIFRS(国際会計基準)、日産・マツダは日本基準で決算を開示しています。会計基準が異なると営業利益等の算出方法が完全には一致しない場合があるため、特に日本基準2社と他3社の営業利益率の比較は参考値としてご覧ください。

バリュエーション・マップ(PER × 売上高倍率)

0.1倍0.2倍0.3倍0.5倍1倍8倍10倍15倍20倍30倍50倍70倍 トヨタ自動車: PER(会社予想) 12.88倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 0.85倍 / 時価総額 432,814億円 トヨタ 本田技研工業(ホンダ): PER(会社予想) 23.70倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 0.33倍 / 時価総額 71,757億円 ホンダ 日産自動車: PER(会社予想) 58.20倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 0.10倍 / 時価総額 12,364億円 日産 スズキ: PER(会社予想) 10.43倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 0.64倍 / 時価総額 40,372億円 スズキ マツダ: PER(会社予想) 8.17倍 / Revenue Multiple(売上高倍率、PSR) 0.15倍 / 時価総額 7,361億円 マツダ時価総額を売上高で割った倍率(PSR=Price to Sales Ratioとも呼ばれます)。利益がマイナスでPERが算出できない赤字企業でも、売上高さえあれば算出できる株価指標です。詳しくはこちら →Price Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。詳しくはこちら →
トヨタ自動車本田技研工業(ホンダ)日産自動車スズキマツダ

縦軸はPrice Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。詳しくはこちら →、横軸は時価総額を売上高で割った倍率(PSR=Price to Sales Ratioとも呼ばれます)。利益がマイナスでPERが算出できない赤字企業でも、売上高さえあれば算出できる株価指標です。詳しくはこちら →で、いずれも対数スケールです。バブルの大きさは時価総額を表します。数値の詳細は下記「指標比較表」または各バブルにカーソルを合わせてご確認ください。

資本効率マップ(ROA × 自己資本比率)

Return On Equityの略。株主が出した資本(自己資本)に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷自己資本で算出します。詳しくはこちら →という1つの数字が「本業の稼ぐ力(Return on Assetsの略。負債も含めた総資産全体に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷総資産で算出します。詳しくはこちら →)」と「レバレッジ(総資産のうち、返済不要の自己資本(株主資本)がどれだけの割合を占めるかを示す指標。数字が高いほど負債への依存度が低く、財務的な余力が大きいとされます。詳しくはこちら →の低さ)」のどちらでできているかを分解して見るチャートです。斜めの参照線はROE一定線(ROE=ROA÷自己資本比率という恒等式に基づく)で、同じ線の上に乗っている会社は数式上ROEが同じであることを意味します。

ROE -10%ROE -5%ROE 0%ROE +5%ROE +10%15%20%25%30%35%40%45%50%55%60%-6%-4%-2%0%2%4%6%8%10% トヨタ自動車: ROA(総資産利益率、簡易値) 3.6% / 自己資本比率 37.8% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 9.6% トヨタ 本田技研工業(ホンダ): ROA(総資産利益率、簡易値) -1.2% / 自己資本比率 35.3% / ROE(自己資本利益率、簡易値) -3.5% ホンダ 日産自動車: ROA(総資産利益率、簡易値) -2.7% / 自己資本比率 24.2% / ROE(自己資本利益率、簡易値) -11.1% 日産 スズキ: ROA(総資産利益率、簡易値) 6.6% / 自己資本比率 51.0% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 13.0% スズキ マツダ: ROA(総資産利益率、簡易値) 0.8% / 自己資本比率 42.5% / ROE(自己資本利益率、簡易値) 1.8% マツダ総資産のうち、返済不要の自己資本(株主資本)がどれだけの割合を占めるかを示す指標。数字が高いほど負債への依存度が低く、財務的な余力が大きいとされます。詳しくはこちら →Return on Assetsの略。負債も含めた総資産全体に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷総資産で算出します。詳しくはこちら →
トヨタ自動車本田技研工業(ホンダ)日産自動車スズキマツダ

横軸は自己資本比率、縦軸はROA(簡易値=ROE×自己資本比率で逆算した値。総資産の実額からの算出ではありません)で、いずれも線形スケールです。バブルの大きさは時価総額です。同じROE一定線に乗っていても、自己資本比率が低い(左側の)会社ほど、そのROEはレバレッジで底上げされている度合いが大きいことを意味します。

※本チャートは自己資本比率とROAの関係からレバレッジの効き方・資本効率を見るものであり、現金同等物の保有額そのもの(いわゆる「ネットキャッシュ」)を示すものではありません。実際の現金保有状況は次の「ネットキャッシュ比較チャート」をご覧ください。

ネットキャッシュ比較チャート

ネットキャッシュ(現金及び現金同等物-有利子負債)は、借入金をすべて返済してもなお現金がどれだけ残るかを表す指標です。プラスが大きいほど、財務的に余力のある「キャッシュリッチ」な状態を意味します。

0兆円2兆円4兆円6兆円 トヨタ自動車: ネットキャッシュ 70,850億円(製造業単体ベース) トヨタ70,850億円 本田技研工業(ホンダ): ネットキャッシュ 33,246億円(製造業単体ベース) ホンダ33,246億円 日産自動車: ネットキャッシュ 11,704億円(製造業単体ベース) 日産11,704億円 マツダ: ネットキャッシュ 4,431億円(連結ベース) マツダ※4,431億円 スズキ: ネットキャッシュ 2,247億円(連結ベース) スズキ※2,247億円
キャッシュリッチ(ネットキャッシュがプラス)負債超過(ネットキャッシュがマイナス)

ネットキャッシュの大きい順に5社を並べた横棒グラフです。単位は兆円(軸目盛り)、バー上のラベルは億円単位の実数です。

※スズキ・マツダは金融事業を区分するセグメントが開示されていないため、連結ベースの数値です(バーを半透明で表示しています)。トヨタ・ホンダ・日産は、金融事業(自動車ローン・リース事業)を除いた製造業単体ベースの数値です。算出基準が異なるため、5社間の単純な大小比較には注意してください。詳しい算出根拠は下記「算出方法・データソース」をご覧ください。

指標比較表

指標トヨタ自動車本田技研工業(ホンダ)日産自動車スズキマツダ
規模
売上高(売上収益・経常収益)506,849億円217,966億円120,079億円62,930億円49,182億円
売上高成長率(前期比)+5.5%+0.5%-4.9%+8.0%-2.0%
収益性
営業利益(経常利益)37,662億円-4,143億円580億円6,229億円516億円
営業利益率(経常利益率)7.4%-1.9%0.5%9.9%1.1%
当期純利益38,480億円-4,239億円-5,331億円4,393億円351億円
Return On Equityの略。株主が出した資本(自己資本)に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷自己資本で算出します。詳しくはこちら →9.6%-3.5%-11.1%13.0%1.8%
Return on Assetsの略。負債も含めた総資産全体に対して、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。当期純利益÷総資産で算出します。詳しくはこちら →3.6%-1.2%-2.7%6.6%0.8%
EPS(1株当たり利益)295.25円-106.06円-152.58円227.69円55.64円
持分法による投資損益—————
投資収益比率(持分法投資損益 ÷ 当期純利益)—————
OHR(経費率)—————
財務健全性
総資産のうち、返済不要の自己資本(株主資本)がどれだけの割合を占めるかを示す指標。数字が高いほど負債への依存度が低く、財務的な余力が大きいとされます。詳しくはこちら →37.8%35.3%24.2%51.0%42.5%
BPS(1株当たり純資産)3062.82円3035.91円1372.56円1753.03円3020.96円
現金及び現金同等物98,851億円45,635億円21,721億円9,733億円※12,932億円※
有利子負債28,001億円12,389億円10,017億円7,486億円※8,501億円※
ネットキャッシュ70,850億円33,246億円11,704億円2,247億円※4,431億円※
自己資本比率(バーゼル規制ベース)—————
市場評価
1株配当(会社予想)95円70円0円51円55円
株価2965.5円1583.0円332.9円2055.0円1165.0円
Price Earnings Ratioの略。株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標で、株価が利益水準に対して割高か割安かの目安として使われます。詳しくはこちら →12.88倍23.70倍58.20倍10.43倍8.17倍
PBR(実績)0.97倍0.52倍0.24倍1.17倍0.39倍
配当利回り(会社予想)3.37%4.42%0.00%2.48%4.72%
時価総額432,814億円71,757億円12,364億円40,372億円7,361億円
時価総額を売上高で割った倍率(PSR=Price to Sales Ratioとも呼ばれます)。利益がマイナスでPERが算出できない赤字企業でも、売上高さえあれば算出できる株価指標です。詳しくはこちら →0.85倍0.33倍0.10倍0.64倍0.15倍

決算数値の算出基準: 2026年5月8日〜5月14日発表の2026年3月期決算短信/株価・PER・PBR・配当利回り・時価総額の基準: 2026年7月27日15:30(東証終値)

※現金及び現金同等物・有利子負債・ネットキャッシュの3指標は、トヨタ・ホンダ・日産が金融事業を除いた製造業単体ベース、スズキ・マツダ(表中「※」付き)が金融事業セグメント非開示のため連結ベースと、算出基準が異なります。詳しくは下記「算出方法・データソース」をご覧ください。

自動車業界のビジネスモデルと財務構造

自動車メーカーは、巨額の設備投資と研究開発費(電動化・ソフトウェア開発)を先行して投じ、量産効果で回収する典型的な資本集約型・装置産業です。販売台数が少し落ちるだけで固定費を吸収できなくなり、利益が大きく振れやすい「営業レバレッジ」の高い業界で、景気や為替の影響を受けやすい景気敏感株の代表でもあります。

財務構造上の最大の特徴は、自動車ローン・リースを手がける金融子会社を連結に抱えている点です。金融事業はお客様に貸し付けるための資金を借り入れで調達するため、連結の有利子負債は製造業の実態よりはるかに大きく見えます。本ツールでトヨタ・ホンダ・日産のネットキャッシュを「製造業単体ベース」で算出しているのはこのためです。

また、輸出比率が高いメーカーほど円安で利益が押し上げられ、円高で押し下げられます。同じ期の決算でも、為替前提と北米・中国など主力市場の構成によって各社の明暗が分かれやすい点を意識して数字を見る必要があります。

自動車業界で注目したい指標の読み方

営業利益率
量産効果と価格決定力の総合点です。完成車メーカーでは5%前後が一つの目安で、7〜10%あれば高水準といえます。固定費が重いため、販売台数の小さな変化で大きく上下する点に注意してください。
ネットキャッシュ(製造業単体ベース)
金融事業の借入を除いた「本業の手元資金の厚み」です。連結ベースのままだと自動車ローン原資の借入で大幅なマイナスに見えるため、金融事業を区分して見ることが重要です。
PBR
自動車業界はPBR1倍割れが常態化しやすい業界です。1倍割れは「純資産を資本コスト以上の利益に変えられていない」と市場が見ているサインで、ROEの水準と合わせて読むのが基本です。

5社の比較から読み取れること(運営者の見解)

  1. 黒字3社と赤字2社で明暗がくっきり分かれた

    2026年3月期はホンダ(当期純利益−4,239億円)と日産(同−5,331億円)が最終赤字となった一方、トヨタ・スズキ・マツダは黒字を確保しました。同じ業界・同じ決算期でも、電動化投資や構造改革の費用計上のタイミングで最終損益が大きく分かれることが分かります。

  2. 収益性・財務の両面でスズキが際立つ

    スズキは営業利益率9.9%・ROE13.0%・自己資本比率51.0%と、5社の中で収益性と財務健全性を両立しています。インドなど新興国の小型車に集中する戦略が数字に表れており、5社で唯一PBRが1倍を上回っている(1.17倍)のも、市場がこの資本効率を評価している結果と読めます。

  3. PBR1倍割れが4社、日産は0.24倍

    トヨタ(0.97倍)を含む4社がPBR1倍を下回っています。特に日産の0.24倍、マツダの0.39倍は、純資産に対して市場が大きなディスカウントをつけている状態です。ただし低PBRは「割安」とは限らず、ROEが資本コストを下回る状態が続く限り是正されにくい点に注意が必要です。

  4. 赤字企業のPERは見かけ上高く出る

    ホンダ(23.7倍)・日産(58.2倍)のPERは翌期の会社予想利益に基づく値で、当期の赤字から回復途上にあるため高く見えます。PERだけで「割高」と判断せず、利益の回復シナリオが妥当かどうかを確かめることが大切です。

※上記は掲載データをもとにした運営者の見解であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

会社概要・会計基準

トヨタ自動車(7203)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

トヨタ自動車 投資家情報「業績ハイライト・財務指標」 →

本田技研工業(ホンダ)(7267)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

Honda 投資家情報「業績ハイライト」 →

日産自動車(7201)

日本基準

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

日産自動車 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) →

スズキ(7269)

IFRS(国際会計基準)

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

スズキ 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) →

マツダ(7261)

日本基準

2026年3月期(通期、2025年4月〜2026年3月)

マツダ 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) →

※5社のうち2種類の会計基準が混在しています。同じ「営業利益」という名称でも基準間で算出方法が異なる場合があるため、単純な数値の大小比較だけでなく、各社の決算短信の注記も合わせてご確認ください。

算出方法・データソース

※本ツールは各社の決算短信に基づく財務指標を業界内で相対比較する情報提供を目的としており、投資助言・売買推奨ではありません。特定の企業への投資を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。数値は算出時点のものであり、最新の情報は各社のIR資料でご確認ください。