更新日: 2026年10月5日
パーセンタイルとは
多数のシミュレーション結果を小さい順に並べたとき、下から何%の位置にあるかを示す値。下振れ・上振れシナリオの把握に使います。
かみ砕いた説明
パーセンタイルは、多数のデータを小さい順に並べたときに、下から何%の位置にあるかを示す値です。たとえば「10パーセンタイル値」とは、全体の10%がその値以下に収まる(残り90%はそれより大きい)ラインを指します。
学校のテストで「100人中、下から10番目の点数」が10パーセンタイル値、「ちょうど真ん中の点数」が50パーセンタイル値(中央値)にあたるイメージです。偏差値と同じく、全体の中での位置を表す物差しですが、パーセンタイルは分布の形(左右対称かどうか)を仮定しないため、偏った分布にもそのまま使えるのが特徴です。
計算方法
- データを小さい順に並べる
- 全体の何%の位置かを計算する(n個のデータなら、pパーセンタイルはおよそ p% × (n − 1) 番目。先頭を0番目と数える)
- その位置がデータとデータの間に来る場合は、前後の値を按分して求める
当サイトの積立シミュレーターは、1,500回の試行結果をこの方法で並べ替え、10・50・90パーセンタイル値を計算しています。10パーセンタイル値はおよそ150番目、90パーセンタイル値はおよそ1,350番目に小さい結果です。
積立シミュレーターの結果で見るパーセンタイル
積立シミュレーターの初期設定(毎月3万円を20年間積み立て、元本の合計720万円)で、2つのポートフォリオを試算すると、20年後の資産額の目安は次のようになります。
| パーセンタイル | 全世界株式(オルカン想定) 期待リターン5.0%・標準偏差15.0% | 株式60%・債券40% 期待リターン3.7%・標準偏差9.7% |
|---|---|---|
| 10パーセンタイル(下振れ) | 約660万円 | 約730万円 |
| 50パーセンタイル(中央値) | 約1,110万円 | 約1,030万円 |
| 90パーセンタイル(上振れ) | 約1,970万円 | 約1,460万円 |
| 元本720万円を下回る確率 | 約14% | 約9% |
※モンテカルロ法による試算は乱数を使うため、ツール上の数値は実行のたびに少しずつ変わります。上表は試行回数を増やして求めた目安で、将来の運用成果を示すものではありません。
この表から、パーセンタイルを使うと次のようなことが読み取れます。
- 中央値はオルカンの方が高いが、差は約80万円にとどまる: 平均的なシナリオでは、リスクを取った分のリターンの差は思ったほど大きくありません
- 上振れの幅はオルカンが大きく、下振れではむしろ逆転する: 90パーセンタイルではオルカンが約500万円上回る一方、10パーセンタイルでは株式60%・債券40%の方が約70万円上回ります
- オルカンの10パーセンタイル値は元本を下回る: 20年積み立てても、10回に1回以上は元本割れで終わる可能性がある、ということです
標準偏差が示す「平均的なばらつきの大きさ」を、具体的な金額のイメージに変換してくれるのがパーセンタイルの役割です。
中央値と平均値の違い
資産額のシミュレーションでは、中央値(50パーセンタイル)と平均値が一致しません。上のオルカンの例では、中央値が約1,110万円なのに対し、全試行の平均値は約1,240万円になります。
複利で増える資産額は、うまくいったシナリオが大きく上に伸びる一方、下には0円までしか下がらないため、分布が右に長く裾を引いた形になります。平均値はこの一部の大成功シナリオに引っ張られて高めに出るため、「ふつうに運用したらどれくらいか」の目安としては、中央値の方が実感に近い数字です。単一の利回りで計算する一般的な積立シミュレーターの結果は、どちらかといえば平均値に近い数字になる点に注意が必要です。この違いについては積立投資のシミュレーションで「平均リターン」だけを見てはいけない理由で詳しく解説しています。
シミュレーター以外での使われ方
パーセンタイルは、投資のシミュレーション以外でも身近なところで使われています。たとえば世帯の貯蓄額や所得の統計では、一部の高額な世帯が平均値を押し上げるため、「平均値」より「中央値(50パーセンタイル)」の方が一般的な世帯の実感に近いとされます。資産額の分布が右に裾を引くという点で、上で説明した積立シミュレーションの結果と同じ構造です。リスク管理の分野でも、損失額の分布の下位1%や5%のラインを「最大でこの程度までの損失」の目安として使う手法が広く用いられています。
よくある誤解・注意点
- 10パーセンタイルは「最悪のケース」ではない: 10回に1回はそれより悪い結果になり得るラインです。より慎重に見積もりたい場合は、5パーセンタイルや1パーセンタイルといった、さらに下の値を確認する方法もあります
- 前提の期待リターン・標準偏差に強く依存する: パーセンタイル値はシミュレーションの前提(期待リターン・標準偏差・リターンの分布の形)から計算された結果です。前提が変われば、結果も大きく変わります
- 途中経過の下落は表に表れない: 20年後の資産額のパーセンタイルが同じでも、途中でどれだけのドローダウンを経験するかは別問題です。途中の値下がりに耐えられるかも、あわせて考えておく必要があります
結果画面の読み方の詳細は、積立シミュレーター(モンテカルロ法)の使い方と数字の読み方で解説しています。