更新日: 2026年10月5日
営業利益率とは
売上高のうち、本業の事業活動でどれだけ利益(営業利益)を残せたかを示す指標。企業の「稼ぐ力」を、規模の異なる企業間でも比較しやすくします。
かみ砕いた説明
営業利益率は、売上高に対して、本業の事業活動から生まれた利益(営業利益)がどれだけの割合を占めるかを示す指標です。「100円売り上げたときに、本業の儲けとして何円残るか」を表し、企業の稼ぐ力を、売上規模の異なる企業同士でも比較しやすくしてくれます。
売上高そのものは企業規模の目安にはなりますが、収益性の目安にはなりません。売上高が大きくても営業利益率が低ければ「薄利多売」の状態ですし、逆に売上高が小さくても営業利益率が高ければ効率よく稼げていることになります。
営業利益の位置づけ
損益計算書(PL)では、売上高から段階的に費用を差し引いて利益を計算します。営業利益はその中で「本業の成果」を表す段階の利益です。
| 段階 | 計算 | 意味 |
|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 売上高 - 売上原価 | 商品・サービスそのものの儲け |
| 営業利益 | 売上総利益 - 販売費及び一般管理費 | 人件費・広告費なども差し引いた本業の儲け |
| 経常利益(日本基準) | 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 | 受取利息・支払利息などの財務活動も含めた儲け |
| 当期純利益 | 経常利益 ± 特別損益 - 法人税等 | 一時的な損益と税金を反映した最終的な儲け |
営業利益は、借入の多さ(支払利息)や一時的な資産売却益などの影響を受けないため、本業の収益力を比べるのに適しています。
計算式と計算例
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高
当サイトの自動車業界トップ5 財務諸表比較ツールに掲載しているトヨタ自動車の2026年3月期で計算すると、
- 売上高(営業収益): 50兆6,849億円
- 営業利益: 3兆7,662億円
- 営業利益率: 3兆7,662億円 ÷ 50兆6,849億円 ≒ 7.4%
となります。トヨタ・ホンダ・日産・スズキ・マツダの決算比較では、売上高がトヨタの8分の1ほどのスズキが営業利益率9.9%で5社トップとなり、売上高で圧倒的1位のトヨタを上回ったことを紹介しています。同じ決算期にホンダは営業利益率-1.9%と赤字に転落しており、同じ業界でも収益性には大きな差が生じます。
業界によって「普通の水準」がまったく違う
当サイトの業界比較ツールに掲載している各社の数値を、業界ごとに単純平均すると次のとおりです。
| 業界(対象企業数) | 営業利益率の平均 | 業界内の例 |
|---|---|---|
| 精密機器・FA機器(3社) | 31.7% | キーエンス 51.0% |
| 銀行(5社) | 20.9% | ※経常利益率で代用 |
| 不動産(5社) | 18.0% | 住友不動産 28.3% |
| 通信(3社) | 14.9% | KDDI 18.1% |
| 小売(5社) | 9.2% | ファーストリテイリング 16.2%/イオン 2.5% |
| 建設(4社) | 7.5% | 大成建設 9.0% |
| 商社(2社) | 3.9% | 伊藤忠商事 4.7%/丸紅 3.1% |
| 自動車(5社) | 3.4% | スズキ 9.9%/ホンダ -1.9% |
付加価値の高い製品を少ないコストで提供できる精密機器・FA機器メーカーや、賃貸ビルなどのストック収入を持つ不動産会社は営業利益率が高く、仕入れた商品を販売する小売や、多数の部品を調達して組み立てる自動車、大量の取引を仲介する商社は低めになります。営業利益率の高低は業界のビジネスモデルを強く反映するため、業界をまたいで比べて優劣をつけるのではなく、同じ業界の中で比べるのが基本です。
IFRS企業では「営業利益」がない場合がある
国際会計基準(IFRS)では、営業利益は必ず表示しなければならない科目ではありません。当サイトの商社業界トップ5 財務諸表比較ツールでは、三菱商事・三井物産・住友商事の3社はIFRSの損益計算書に営業利益に相当する独立した科目がないため、営業利益率を「算出不可」としています(伊藤忠商事・丸紅は、日本の会計慣行に従って自主開示している参考値を採用)。根拠のない推計値は掲載しない方針です。
また、ファーストリテイリングのように、営業利益とは別に「事業利益」(売上収益から売上原価・販管費を差し引いた、本業の儲けを示す独自の段階利益)を開示する企業もあります。当サイトの小売業界の比較ツールでは、同社の営業利益率に相当する値として事業利益を使っています。IFRS企業同士、あるいはIFRS企業と日本基準の企業を比べるときは、どの段階の利益を使った比率なのかを確認する必要があります。
よくある誤解・注意点
- 営業利益率が低い=儲かっていない会社とは限らない: 商社は営業利益率が数%と低い一方、出資先企業からの持分法による投資損益が営業利益より下の段階で大きく加わるため、当期純利益やROEは高い水準にあります
- 銀行には営業利益がない: 銀行は経常収益・経常利益で業績を表すため、当サイトでは経常利益率で代用しています。銀行の効率性はOHR(経費率)で見るのが一般的です
- 売上高の大きさが株価評価に直結するわけではない: 営業利益率が高い企業ほど、売上高に対する株価の倍率(Revenue Multiple)も高くなる傾向があります
- 営業利益にも一時的な損益が含まれることがある: 日本基準では一時的な損益の多くを特別損益(営業利益より下)に計上しますが、IFRSでは減損損失や事業再編に伴う費用が営業利益の段階に含まれることが多く、その年の営業利益率が大きく振れることがあります。1期だけでなく複数期の推移で判断しましょう