日経平均と主要資産の相関ヒートマップの使い方:S&P500・金・為替との連動度を実データで読む
「日経平均が動くとき、自分の他の資産はどれくらい一緒に動くのか」は、相関係数を実際のデータで見ない限りわかりません。当サイトの相関ヒートマップ(日経平均)は、日経平均株価を基準に、S&P500・金(ゴールド)・米10年国債利回り・ドル円という主要資産、およびTOPIX-17業種指数との相関係数を、1年・3年・5年・10年の期間別に一覧できるツールです。本記事では、ツールの見方と、実データから読み取れる傾向を解説します。
このツールでわかること
相関係数と分散投資の関係で解説したとおり、分散投資の効果を決めるのは「資産の数」ではなく「相関の低い組み合わせをどれだけ持てているか」です。ただし、実際の資産間の相関係数がいくつなのかは、計算してみないとわかりません。このツールは、日経平均と主要な資産クラス・業種指数の相関係数を、月次終値から算出した月次リターンのピアソン相関係数として、あらかじめ計算・一覧化したものです。
- 主要資産と比較: S&P500・金・米10年国債利回り・ドル円という、日経平均以外の主要な投資対象4つとの相関
- 業種別に比較: 日経平均を構成するTOPIX-17業種指数との相関(どの業種が日経平均と連動しやすいか)
- 期間別(1年/3年/5年/10年): 相関係数は期間によって変化するため、直近の傾向と長期の傾向を切り替えて確認できる
主要資産との相関(2026年7月25日時点)
主要資産4つとの相関係数は、次のとおりです(1.0に近いほど連動、0に近いほど無関係、マイナスに近いほど逆相関)。
| 資産 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 |
|---|---|---|---|---|
| S&P500 | 0.23 | 0.20 | 0.02 | 0.01 |
| 金(ゴールド) | 0.55 | 0.23 | 0.17 | 0.13 |
| 米10年国債利回り | 0.64 | 0.15 | -0.01 | 0.05 |
| ドル円(USD/JPY) | 0.13 | 0.15 | 0.00 | 0.12 |
ここでまず目を引くのが、S&P500との相関が長期になるほど下がっている点です。10年で見るとほぼ0.01と、統計的にはほとんど無関係に近い水準まで下がります。「日経平均は米国株と一緒に動く」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、少なくとも月次リターンのピアソン相関係数で見る限り、長期的な連動度はかなり低いことがわかります。一方で1年(直近12ヶ月)だけを見ると0.23とやや上がっており、短期的には連動が強まる局面があることも読み取れます。
米10年国債利回りは、直近1年で0.64とこの表の中で最も高い相関を示しています。これは、金利動向が為替や輸出関連株を通じて日経平均に影響しやすい局面が、直近では強く出ていたことを示唆します。ただし3年・5年になると0.15、-0.01と急速に下がっており、この高い相関が長期的に安定した関係ではなく、直近の特定の相場環境に強く依存している可能性がある点には注意が必要です。
金(ゴールド)は1年で0.55とやや高めですが、これも期間が長くなるにつれて0.13まで下がっていく傾向です。金はUSD建て、日経平均はJPY建てで算出しているため、この相関には為替変動の影響が一部混在している点も踏まえて読む必要があります。
業種別の相関(日経平均との連動度)
TOPIX-17業種指数との相関では、業種による差がはっきり出ます。10年間のデータで相関係数が高い上位・低い下位を並べると次のようになります。
| 順位 | 業種 | 10年相関 |
|---|---|---|
| 高い | 電機・精密 | 0.92 |
| 高い | 機械 | 0.83 |
| 高い | 素材・化学 | 0.76 |
| 低い | 電気・ガス | 0.23 |
| 低い | エネルギー資源 | 0.38 |
| 低い | 食品 | 0.44 |
電機・精密や機械といった輸出型・景気敏感な製造業は、日経平均との相関が0.8〜0.9台と非常に高くなっています。日経平均自体がこうした業種を大きく含む加重平均であるため、これは自然な結果といえます。一方、電気・ガス(0.23)やエネルギー資源(0.38)は相対的に相関が低く、日経平均全体とは異なる値動きをする局面がより多いことを示しています。
ツール内の注記にもあるとおり、業種別の相関は「日経平均そのもの」と「各業種指数」を比較したものです。日経平均は多くの業種を含む加重平均のため、個別の業種指数との相関は総じて高めに出やすい点は踏まえておく必要があります。この点は、個別の2資産同士(たとえばS&P500と金)を比較する場合とは前提が異なります。
期間によって相関係数が変わることの意味
このツールを1年から10年まで切り替えて眺めると、多くの組み合わせで**期間が長くなるほど相関係数が下がっていく(0に近づく)**傾向が見て取れます。これは偶然ではなく、短期的には特定のマクロ環境(金利動向・為替・地政学リスクなど)に資産クラス間の値動きが引きずられやすい一方、長期で見るとそうした一時的な連動が均され、資産クラス本来の値動きの違いが表れやすくなるためだと考えられます。
裏を返すと、直近1年だけの相関係数を見て「この資産とは連動しにくい/しやすい」と判断するのは早計である可能性があります。分散投資の効果を見積もる際は、複数の期間を見比べたうえで、どの程度その相関が安定しているかも合わせて確認することをおすすめします。
使い方: 2つの軸を切り替えるだけ
- 比較対象タブで「主要資産と比較」か「業種別に比較」を選ぶ
- 期間タブで1年・3年・5年・10年を切り替える
- 一覧は相関係数の高い順に自動で並び替わるため、上位(連動しやすい)・下位(分散効果が期待できる)が一目でわかる
赤に近いほど正の相関(連動しやすい=分散効果は小さい)、青に近いほど負の相関(逆に動きやすい=分散効果が大きい)です。
注意点
このツールで表示している相関係数は、月次終値データ(日経平均は^N225、業種はTOPIX-17連動ETFを代理指標として使用)から算出した過去の実績値であり、将来の相関関係を保証するものではありません。とくに、相関係数と分散投資の関係でも触れたとおり、暴落局面では通常時に相関の低い資産クラス同士の相関が急上昇し、分散効果が薄れることがあります。ここでの数値はあくまで平常時の目安として捉え、個別の投資判断はご自身の責任で行ってください。
まとめ
- 相関ヒートマップ(日経平均)は、日経平均と主要資産・TOPIX-17業種指数との相関係数を、期間別(1年/3年/5年/10年)に確認できるツール
- 2026年7月25日時点のデータでは、日経平均とS&P500の相関は10年で0.01とほぼ無相関に近く、長期的な連動度は低い
- 業種別では電機・精密(0.92)など輸出型製造業が日経平均と高く連動し、電気・ガス(0.23)は相対的に独立した値動きをしている
- 多くの組み合わせで期間が長くなるほど相関係数が0に近づく傾向があり、直近1年だけの数値で判断するのは避けたほうがよい
- 相関係数は過去データに基づく参考情報であり、暴落局面では相関が上昇し分散効果が薄れることがある点に留意する