業種別 景気感応度マップ

TOPIX-17業種指数について、平時の値動きの大きさ(ベータ値)と、リーマンショック・コロナショックという実際の景気後退局面でどれだけ下落したかを数字で確認し、「シクリカル(景気敏感)」「ディフェンシブ」「中立」に分類したツールです。分類は執筆者の主観ではなく、業種ごとに算出した2つの数値の組み合わせで機械的に決めています。

17業種の景気感応度

業種(◯)をクリックすると、詳細がポップアップで表示されます

右上に行くほど「平時から値動きが大きく、景気後退期にも大きく下落した」シクリカルな業種、左下に行くほどディフェンシブな業種です。

シクリカルディフェンシブ中立判定が割れる

算出基準日: 2026年7月26日/対TOPIXベータ(直近60ヶ月・2021年5月〜2026年6月の月次リターン)

このツールで分かること・想定する利用者

株式投資の解説では「自動車や鉄鋼は景気敏感株(シクリカル株)、食品や医薬品はディフェンシブ株」といった分類がよく使われます。しかし、その分類が実際の値動きのデータで裏付けられているかを確認できる機会は多くありません。このツールは、TOPIX-17業種それぞれについて「平時にどれだけ市場と一緒に動くか」と「実際の景気後退局面でどれだけ下がったか」の2つの数字を算出し、通説どおりの業種と、通説とは違う動きをした業種を見分けられるようにしたものです。

日本株の個別銘柄や業種別ETFに投資していて、保有銘柄が景気後退にどれだけ弱いかを知りたい方、景気局面に応じて業種のバランスを考えたい方、新NISAで日本株の高配当株などを選ぶ際に業種の偏りが気になる方を想定しています。

使い方(画面の見方)

マップ表示
横軸に対TOPIXベータ値、縦軸に景気後退期の相対ドローダウン(2局面の平均)をとった散布図です。業種の丸をクリックすると、ベータ値と、リーマンショック・コロナショックそれぞれの下落率・下落期間がポップアップで表示されます。
一覧表示
17業種を表形式で並べたものです。見出しをクリックすると、ベータ値や相対ドローダウンの大きい順・小さい順に並べ替えられます。
分類(色)
シクリカル・ディフェンシブ・中立・判定が割れるの4区分です。判定基準は下の「分類の考え方」で説明しています。

分類の考え方

各業種について、次の2つの数値を組み合わせて「シクリカル」「ディフェンシブ」「中立」を判定しています。

  • 対TOPIXベータ値: 対TOPIXベータ(直近60ヶ月・2021年5月〜2026年6月の月次リターン)。1より大きいほど、TOPIXが1%動いたときにその業種はより大きく動く(値動きが大きい)ことを意味します
  • 景気後退期の相対ドローダウン: リーマンショック・コロナショックそれぞれの局面で、業種ETFの最大下落率を日経平均の同局面の下落率で割った比率。1より大きいほど、市場平均より深く下落したことを意味します

ベータ値と相対ドローダウンがどちらも高ければ「シクリカル」、どちらも低ければ「ディフェンシブ」、どちらも市場平均に近ければ「中立」と判定しています。具体的には、ベータ値と相対ドローダウン(2局面の平均)の平均が1.15以上ならシクリカル、0.85以下ならディフェンシブ、その間を中立としています。一方で、平時の値動きは大人しいのに景気後退期だけ大きく下落する業種(銀行・不動産など)のように、2つの数値の判定が逆方向に割れる業種もあります。そうした業種は無理に一つのラベルに丸めず「判定が割れる」として区別し、両方の数値を確認いただけるようにしています。

使用データは、TOPIX-17業種に連動するETF(1617〜1633)、TOPIX連動ETF(1306)、日経平均の月次終値です(算出基準日: 2026年7月26日)。ベータ値はTOPIX連動ETFを、相対ドローダウンはリーマンショック時まで遡れる日経平均を基準にしています。

※リーマンショック: 2008年3月〜2009年4月の範囲内でのピーク→ボトム(日経平均は2008年4月→2009年1月で-47.2%)

※コロナショック: 2019年10月〜2020年5月の範囲内でのピーク→ボトム(日経平均は2019年11月→2020年2月で-20.0%)

※月次終値ベースで算出しているため、日次ベースの実際の下落率(特にコロナショックの日中安値)よりは小さめに出ます。また業種ETFのデータが取得できる期間の制約上、リーマンショックの下落率は日経平均自体の2007年高値からの下落率より小さい値になっています。

結果の読み方と具体例

通説どおりのシクリカル:鉄鋼・非鉄

鉄鋼・非鉄はベータ値1.41と17業種で最も高い水準で、リーマンショックでは-58.0%(日経平均の1.23倍)、コロナショックでは-33.9%(同1.69倍)と、どちらの局面でも市場平均より深く下落しました。平時・有事ともに景気の影響を強く受ける、典型的なシクリカル業種です。

通説どおりのディフェンシブ:食品

食品はベータ値0.48と最も低く、景気後退期の下落も日経平均の0.80倍(リーマンショック)・0.67倍(コロナショック)にとどまりました。景気が悪くなっても需要が大きく減らない業種は、数字の上でもディフェンシブであることが確認できます。

平時と有事で顔が変わる:銀行

銀行のベータ値は0.61で、平時の値動きだけを見るとディフェンシブ寄りです。しかしリーマンショックでは-53.9%(日経平均の1.14倍)、コロナショックでは-26.5%(同1.32倍)と、景気後退局面ではむしろ市場平均より大きく下落しました。信用不安や金利低下の影響を受けやすいためで、「普段は値動きが小さい=暴落にも強い」とは限らないことを示す例です。

自分が保有する業種がマップの右上(シクリカル)に偏っていれば、景気後退時の下落は市場平均より大きくなりやすいと考えられます。左下(ディフェンシブ)の業種と組み合わせる、あるいは業種に偏らないインデックスファンドを中心にするなど、偏りを把握したうえで判断する材料として活用してください。

注意点・限界

  • 業種の分類は、業種指数に連動するETFの価格から算出したもので、同じ業種でも個別銘柄の値動きは大きく異なることがあります
  • 景気後退期のデータはリーマンショック・コロナショックの2局面のみで、原因の異なる次の景気後退で同じ動きになるとは限りません
  • 商社・卸売はリーマンショック局面のデータが取得できないため、コロナショックとベータ値のみで分類しています
  • ベータ値は直近60ヶ月の値で、金利環境や産業構造の変化によって今後変わる可能性があります
  • 月次終値ベースのため、日次ベースの実際の下落率よりは小さめに出ます

解説の最終更新日:

※本ツールで表示するベータ値・ドローダウン・分類は、過去の価格データに基づく参考情報であり、将来の値動きや景気後退局面での値動きを保証するものではありません。個別銘柄・業種の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。