現金比率シミュレーター

「現金をどれだけ持つべきか」は、まず生活防衛資金と投資資金を分けて考える必要があります。生活防衛資金は、暴落が起きても生活費のために投資資産を取り崩さずに済むよう現金で確保しておくお金、投資資金内の現金比率は、暴落時に慌てずリスク資産を買い増せるよう、投資資金の一部としてあらかじめ確保しておく現金の割合です。生活防衛資金を十分に確保できているほど、投資資産が値下がりしても生活への影響は小さくなるため、投資資金内ではより大きな値動きを許容し、買い増しの余力を厚めに持ちやすくなります。このツールでは、この2つをそれぞれ試算したうえで、最後に資産全体の内訳としてまとめて確認できます。

1. 生活防衛資金

月の生活費と、それを何ヶ月分現金で持つかを入力します。初期値は一般的な目安である6ヶ月ですが、雇用形態や家族構成に応じて自由に調整してください。

円
生活防衛資金の目安額-

2. 投資資金内の現金比率

投資資金の一部を現金として確保しておけば、暴落時に慌てずリスク資産を買い増す原資になります。「いくら買い増したいか」を直接聞くのではなく、標準偏差と下落許容度という金融工学の考え方から、値動きに応じた現金比率を逆算します。現金(無リスク資産)とリスク資産を組み合わせてポートフォリオ全体の値動きを目標水準に調整する、資本配分線(Capital Allocation Line)/2ファンド分離定理という標準的な理論の応用です。確保した現金は、暴落で崩れた配分を目標比率まで戻すリバランスの原資として使えます。

※値動きの幅(標準偏差)が大きい順に並んでいます
円
推奨現金比率-
投資資金内で確保すべき現金額(買い増し余力)-

-

※この試算は、リターンが正規分布に従うという近似(期待リターン−標準偏差 ≈ 1σ下落幅)を前提にしています。2008年の世界金融危機のような実際の暴落局面では、通常は相関の低い資産クラス同士の相関が急上昇し、理論値以上に下落することがあります。あくまで平常時を前提にした目安として捉えてください。

3. 資産内訳

生活防衛資金・投資内現金(買い増し余力)・投資資産(リスク資産)の3区分の内訳です。総資産に対して現金が占める割合を確認できます。

総資産-
生活防衛資金 --
投資内現金 --
投資資産(リスク資産) --

このツールで分かること・想定する利用者

「投資を始めたいが、現金をどれだけ残しておけばよいか分からない」「暴落が来たら買い増したいが、そのための現金がいくら必要か決められない」という悩みに、数字で目安を出すためのツールです。現金を生活防衛資金(生活のための現金)と、投資資金内の現金(買い増しのための現金)の2つに分けて考え、それぞれの金額と、資産全体に占める割合を確認できます。

これから新NISAなどで投資を始める方、すでに投資をしていて現金比率を見直したい方、暴落時に狼狽売りをしてしまった経験があり、自分のリスク許容度に合った配分を知りたい方を想定しています。

使い方(入力項目の意味)

月の生活費・保有月数
家賃・食費・保険料など、毎月必ず出ていくお金と、それを何ヶ月分現金で確保するかです。会社員なら3〜6ヶ月分、収入が不安定な自営業・フリーランスなら1年分以上が一般的な目安とされます。
保有ポートフォリオ
投資資金をどの資産配分で運用しているか(する予定か)を選びます。選んだ配分の期待リターンと標準偏差から、平常時の1年間でどの程度の下落がありうるかを計算します。
許容下落幅
暴落が起きたとき、投資資金全体が何%目減りするまでなら投資をやめずにいられそうかを、5〜30%で指定します。金額で考えると分かりやすく、投資資金300万円で15%なら「45万円減っても耐えられるか」という問いになります。
投資資金
生活防衛資金とは別に、投資に回すと決めたお金の合計(投資資産と、買い増し用に待機させる現金の合計)です。

計算ロジックと前提

生活防衛資金は「月の生活費 × 保有月数」で計算します。投資資金内の現金比率は、次の3ステップで求めています。

  1. 選んだポートフォリオの期待リターンと標準偏差から、「1σ下落幅 = 標準偏差 − 期待リターン」を求める。リターンが正規分布に従うと仮定すると、1年間でこれ以上悪い結果になる確率はおよそ16%(6年に1回程度)です
  2. 現金(値動きのない無リスク資産)を混ぜると、投資資金全体の値動きはリスク資産の比率に比例して小さくなる。そこで「リスク資産の比率 = 許容下落幅 ÷ 1σ下落幅」とする(上限100%)
  3. 「推奨現金比率 = 1 − リスク資産の比率」とし、投資資金に掛けて買い増し用の現金額を求める

ステップ2は、リスク資産と無リスク資産の組み合わせ方でポートフォリオ全体のリスクを調整する資本配分線(2ファンド分離定理)の考え方を、個人の下落許容度にあてはめたものです。各ポートフォリオの期待リターン・標準偏差は、ポートフォリオ比較や積立シミュレーターと共通の想定値を使っています。

結果の読み方と具体例

例として、月の生活費20万円・6ヶ月分、全世界株式(オルカン)、許容下落幅8%、投資資金300万円で試算すると、次のようになります。

  • 生活防衛資金: 20万円 × 6ヶ月 = 120万円
  • 全世界株式の想定は期待リターン5%・標準偏差15%のため、1σ下落幅は約10%
  • リスク資産の比率は 8% ÷ 10% = 80%、推奨現金比率は20%で、買い増し余力は60万円
  • 資産内訳は、総資産420万円のうち生活防衛資金120万円(約29%)・投資内現金60万円(約14%)・リスク資産240万円(約57%)

同じ全世界株式でも、許容下落幅を10%以上にすると推奨現金比率は0%になり、全額をリスク資産に回してよいという結果になります。反対に、値動きの大きいFANG+指数(1σ下落幅は約20.5%)を選び許容下落幅15%とすると、推奨現金比率は約27%に上がります。値動きの大きい資産を持つほど、また下落に弱い自覚がある人ほど、手元に厚めの現金が必要という関係が数字で確認できます。

確保した投資内現金は、暴落で崩れた配分を戻すときの原資として使えます。下落時にいくら買い増せば目標比率に戻るかは、リバランス計算機で確認できます。

注意点・限界

  • 「1σ下落幅」は平常時の1年間を想定した目安です。リーマンショックでは株式が約50%下落するなど、実際の暴落はこれを大きく上回ることがあります(暴落プレイバック参照)
  • リターンが正規分布に従うという近似を使っており、暴落が平均より起こりやすい現実の「裾の厚さ」は反映していません
  • 現金は利回り0%として扱っています。預金金利やインフレによる実質的な目減り、MMF・短期国債など現金同等物の選択は考慮していません
  • 生活防衛資金の月数は一般的な目安で、雇用形態・家族構成・ほかの収入源によって適切な水準は変わります

解説の最終更新日:

※本ツールは入力された数値と、標準偏差に基づく簡易的な近似モデルから現金比率の目安を計算するものであり、個別の投資助言ではありません。税金・手数料・現金同等物(普通預金/MMF/短期国債等)の選択は考慮していません。実際の資産配分は、ご自身の状況を踏まえてご判断ください。